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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第12章 私は今だけ『催眠術が効かないタイプ』


皆は、あれが照橋さんだと思っているようだ。
この状況だと、おかしいのは私なのかと思ってしまう。
いや、落ち着け私。何か妙な事が起こっているのは確かなんだ。
ここは本人に確認してみるべきだろう。

「ちょっと照橋さん借りてくね!」

私は照橋さんらしき人物の腕を引いて、私たちの会話が聞こえなくなる距離まで移動した。

「これどういう事?ㅤ……鳥束くん」

「はっ!?ㅤな、何で俺って分かるんスか!?」

鳥束くんが照橋さんに見えているのは、斉木くんが何かをしたかららしい。大方催眠と言ったところだろう。

何で私には、その催眠が効かないのか。

私は体力がないから、修学旅行を平穏に過ごすために、家を出発する前に能力で〈覚醒〉を付与していた。
書いた文字を現実に起こせるわけだから、今の私は覚醒している状態だ。言うなれば、そう──スーパー名前……ッ!
もしかしたらそのせいで、私は催眠が効かない状態になっているのかもしれない。

それを簡単に鳥束くんに伝えると、
「何でもありっスね……」
と言われてしまった。
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