• テキストサイズ

【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第9章 雨が降る日に限って傘が無い


「風呂場まで案内しますね、先入ってください」

そう言いながら、鳥束くんは歩き出す。
私は鳥束くんの後ろについていった。

きょろきょろと辺りを見回しながら歩いていると、いつの間にか風呂場に到着したらしい。

鳥束くんは振り返り、洗濯機をぺちぺちと叩く。

「乾燥機付いてるんで、制服はこん中に入れてくださいね」

「分かった」

「今、服用意してきます!」

急いでくれているのか、バタバタと足音を立てながら、鳥束くんは服を取りに部屋へと消えていった。



しばらく待っていると、鳥束くんが戻ってくる。
手には丸首のシャツとズボンを持っていた。シャツは長袖だ。

「はい、どうぞ!」

「ありがとう」

シャツを受け取ると、鳥束くんは何故かもじもじし出す。どうしたんだろう。

「えーと、じゃあ、俺部屋で待ってますね……」

「え?ㅤうん」

そう言い残して、鳥束くんは風呂場を後にした。

風呂場の近くは洗面所になっており、私はそこで服を脱いだ。勿論、扉を閉めてからね。
脱いだ制服と靴下を洗濯機の中に入れる。
鳥束くんも私の後に入るだろうし、電源はつけなくても良さそうだ。

鳥束くん、寒がってる私に気を使ってくれたんだろうな。
優しさを感じて、頬が緩んだ。
それと同時に、申し訳なくもなる。

さっさと入ってバトンタッチしよう。

私は風呂場の扉を開けて、中に入った。
/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp