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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第9章 雨が降る日に限って傘が無い


玄関で靴を脱ぐ。
濡れた靴下を脱いで手に持ってから、床に上がった。

先に廊下にいた鳥束くんが、私をじっと見てくる。瞬きしてないんじゃないのってくらい、ガン見されていた。えっ何……?

私が鳥束くんを見つめ返すと、彼ははっとしたような顔をして目を逸らした。

「いやっ別に!ㅤ下着透けててエロいなーなんて思ってませんからね!?」

「全部言っちゃったね!?」

私は慌てて胸の前を腕で隠す。
リボンがあるとはいえ、見えるもんは見えるのだろう。透けるなんて全然考えていなかった。

そういう目で見られていた事を実感して、頬が熱くなる。

鳥束くんが言っていた事を思い出してしまって、つい彼の胸元に視線が行ってしまった。

濡れたシャツが肌に張り付いて、肌の色が透けている。頬から落ちた雫が、彼の首を濡らしていった。
その何とも言えない色気にドキッとしてしまい、私は咄嗟に目を逸らした。これじゃあ、鳥束くんと何も変わらないなぁ……。
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