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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第1章 Ψ高の文化祭


いい感じに話題が逸れてくれた。

ほっとしていると、ふと名前さんがこちらを見ていることに気づく。

何だか嫌な予感がしたが、どうやらそれは的中してしまったようだ。

「鳥束くん」

「は、……はい」

「鳥束くんも女装ってするの?」

「やっぱ聞かれるよなぁそれは!」

思わず、下駄箱前でシャウトしてしまった。
俺の声が響く。

「あー……しますよ、します!ㅤバンドの出番が来る前までっスけどね」

「絶対行く!」

名前さんは、今日一番のキラキラとした笑顔を浮かべた。

「えへへ……絶対可愛いだろうなぁ……」

隣にいる名前さんは、にやにやしている。

そんなに幸せそうな顔をされても困る。

「あんまり期待しないでくださいよ……?」

万が一のために保険をかけたが、きっとこの声は自分の世界に入った名前さんには届いていないだろう。

うちのクラスに来て、心ゆくまで女装した+組の生徒を堪能する名前さんがありありと浮かぶ。

平穏に過ごせそうにないなと、俺は思うのだった。
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