第7章 せめて、この痕がある間は
「えっと……こ、ここの問題っスね」
「ああ、これね。ここは──」
名前さんは、分かりやすく解き方を教えてくれる。
何とか、問題を解ききる事が出来た。
「正解、だね」
にっこりと名前さんは微笑む。
「は、はい……」
そんな彼女に、俺は見惚れてしまった。
その後も、俺は問題集を解いていった。
分からない所があれば名前さんに教えてもらって、名前さんは名前さんで自分の課題を進めていく。
そうこうしているうちに、なんと一時間が経過していた。
俺がこんなに勉強出来るなんて、珍しい。
それもこれも、名前さんがそばにいるからだろうか。
「休憩しましょっか。お茶とお菓子持ってきますね」
「いいの?ㅤありがとう」
「名前さんはゆっくりしててください」
俺はそう言ってから部屋を離れ、お茶とお菓子を取りに行った。