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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第7章 せめて、この痕がある間は


そんな名前さんだったが、いざ勉強を始めると、さっきの照れはどこへやら。

俺の向かいに座っている彼女は、バリバリと課題を進めていた。

この人、強いよなぁ……。何というか、心が。

俺は数学の問題集を開く。

習ったような気はするが、全く分からなかった。

「わ……分からねぇ……!」

こんなんで期末大丈夫なのか!?ㅤ頭を抱えていると、ふといい香りが漂う。

「どこの問題?」

何故いい香りが漂ったのか。

それは、名前さんが俺の側まで移動して、俺の後ろから問題集を覗き込んでいるからだった。

近っ……。

頬に、彼女の髪が触れる。

体温まで伝わってくるようで、心臓が高鳴った。

意識させたいと思っていたのに、実際ドキドキさせられているのは俺ばかりだ。
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