第6章 【議題】いつ〇〇しないと出られない部屋の知識を身につけたのか
「この布、何だろう?」
辺りを見回してみると、殺風景な部屋に似つかわしくないものを見つけた。
壁から出っ張っている何かに、布が被さっている。
「えっ、こんなんあったんスか?」
どうやら零太くんは気づいていなかったらしい。
これが、手掛かりになるかもしれない。
一縷の望みをかけて、私はその布を取ってみる事にした。
「──え?」
壁から出っ張っているのは板だったようだ。その板に、文字が書いてある。
『手を繋がないと出られない部屋』
これ、もしかして『〇〇しないと出られない部屋』ってやつ!?
あの有名な部屋に私たちが入っちゃったって事!?ㅤいや、入れられたって言った方が正しいけど!
嘘……そんな事あるの……!?
どこかで見たコレが実在した事に驚いていると、視界の端で零太くんが震えているのが分かった。
「出られない部屋ならもっと色々あるでしょ!ㅤ何で『手を繋げ』なんてぬっるいお題なんスか!?」
「本音全部出てるよ零太くん」
こんな非日常な状況にいても、彼は通常運転だ。逆に安心する。