• テキストサイズ

【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第5章 優しさに触れ


「水着、似合ってますね。可愛いっスよ」

「あ、ありがとう」

言われ慣れていない『可愛い』という言葉に、私は戸惑う。

「鳥束くんも、似合ってるよ」

これは本心。

本当はカッコいいとも思ったけれど、それを言うのは恥ずかしかった。

「嬉しい事言ってくれるじゃないっスか!」

本当に嬉しそうに言うものだから、つい私も笑顔になる。

「そういえば……さっきすげぇ辛そうな顔してましたけど、どうかしたんスか?」

「あー……えっと、実はね……」

上着を忘れた事、人前で肌を出すのが苦手な事、あとついでに泳げないから暇していた事も話す。

思えば、家族以外にこの話をするのは初めてかもしれない。

話し終わった後鳥束くんの顔を見ると、彼は何やら考え込んでいる様で、
「多分持ってきてるはず……」
なんて呟いている。

私がキョトンとしていると、彼は私に向かって笑顔で、
「ちょっと待っててください、いいモン持ってくるんで!」
と言い、どこかへ駆け出して行った。
/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp