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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第33章 デカめのプレゼントボックスには気をつけた方がいい


「……帰ってくれる?」

「いや無理っスよ! 俺は名前さんへのプレゼントなので」

鳥束は、何を当たり前な事を、とでも言いたげな表情だ。鳥束の身体には赤いリボンが巻かれていて、額の辺りでリボン結びされている。プレゼントらしく飾り付けているのだろうか。
私はそのリボンを解き、鳥束に箱から出るように促した。

「ほら、取りあえず出て!」

「……追い出さないでくれるんスね?」

箱の中から私を伺う鳥束に、私は「はいはい追い出さないから」と適当に返事をする。渋々といった様子で彼は箱から出て、そのまま床に座った。あぐらをかくなあぐらを!

「さぁ、俺を名前さんの好きにしてください!」

鳥束は両手を広げて、傍に立っている私を見上げてくる。上目遣いしろ、なんて頼んでいないんだけど……。

「しないわ! そもそも、プレゼントは服着て歩かないでしょう」

「あ、脱げって事っスか?」

「違う!」

着ているパーカーに手をかけた鳥束を慌てて止める。さっきから、鳥束に振り回されてばかりだ。
何度か叫んだせいで息が切れている私は、呼吸を整える。
少し落ち着くと、疑問が沸いてきた。

「ていうか、どうやって来たわけ? ここ私の部屋なんだけど」

私が聞くと、何故か鳥束はドヤ顔を浮かべる。

「斉木さんに何度も『一生のお願いだから』って頼んでたらやってくれました!」

あー……何だか想像が出来る。
私は、斉木くんが嫌そうにしている姿を思い浮かべた。脳内の斉木くんが『やれやれ……』と言っている。

うん、まあ、気持ちは分かる。何度も頼まれたら、ああこれやってあげるまで終わらないんだなってなるし……。

心の中で頷いていると、脳内の斉木くんは消えていった。
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