第3章 放課後、美術室にて
余ったザラ紙をファイルに入れて、引き出しにしまう。
引き出しに鍵をかけたところで、机のそばにいた鳥束くんが私に近寄ってきた。
ぽん、と頭の上に手を置かれる。
えっ!?
突然の事に驚く。
こんな事された経験なんてないから、頭が真っ白になった。何も考えられない。
「名前さんは頑張り屋さんっスね」
「えっ……?」
鳥束くんは、にこりと笑う。
見た事がないような穏やかな表情に、私の心臓が高鳴る。
「今日だって、遅くまで作業していたんでしょう?ㅤ……たまには、ちゃんと休まなきゃっスよ」
頭の上に置かれた手を、よしよしと動かされる。
美術室に差し込む夕日が、鳥束くんを照らした。
その姿は、私にはとても美しく、綺麗にうつって。
凄く、凄く恥ずかしいのに。
目を、離せなくなった。
「あり、がとう……?」
どうにか絞り出したその言葉に、彼は、
「何で疑問形なんスか」
なんて笑ってくれる。