第3章 放課後、美術室にて
「私鍵閉めとかやっとくから、鳥束くんは先に下駄箱行ってていいよ」
「分かりました、待ってますねー!」
鳥束くんが美術室を出る。
足音が遠ざかる。
ここにいるのは、今は、私だけ。
「──ッ!」
照れているのをもう隠さなくていいという安心感からか、一気に身体から力が抜けた。
床に座り込み、扉に背を預ける。
心臓がうるさい。顔も、きっと真っ赤になっているだろう。
何だったの、さっきの……!
ついさっきの出来事で、私の頭の中はいっぱいになっていた。
これはしばらく、心臓も、顔の熱も収まりそうにない。
でも、下で待ってもらってるから、落ち着くまでここに長居するわけにもいかない。
どうしよう、このまま下に降りたら、ドキドキしてる事がバレてしまうかも。
……『今日は暑いね!』とかで誤魔化せないかなぁ。
まぁ、どうにかなるだろう。と言うかどうにかする!
そんな事を考えながら立ち上がった私は、美術室の扉を開けた。