第26章 この時期毎年崖っぷち
絵日記は八月四日に進んでいた。
完成した八月三日の絵日記。彼らは完全に遊んでおり、完成する絵日記は妙なものになっていた。
「まあ先生も、そんな細かくは読まないんじゃないかな!」
あはは、と笑う苗字は、八月四日の欄に日付を書いた。
このまま進んでいくかと思ったが、
「ここらで一回普通に書こう」
との海堂の言葉で事態は変化する。
何か思い出があるだろうと聞かれた斉木は、首を横に振った。
花火もしていない、プールにも行っていない。海に行っただとか、夏フェスに行っただとか──その全てに、斉木は首を横に振っていた。
斉木は、夏休みは基本家にいたらしい。
その事実を知った海堂達は、斉木に哀れみの目を向けた。
苗字は家にいても良いだろうという、斉木寄りの思考だったため彼に哀れみの目は向けていなかったが、窪谷須に手招きをされて彼らに近寄った。
「なぁ、これから──」
窪谷須の言葉に耳を傾ける。
なるほど確かに、一理ある……かもしれない。
うんうんと頷き、苗字は海堂らと共に斉木に話しかけた。
「今から皆で海でも行かねーか……?」