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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第26章 この時期毎年崖っぷち


海堂らの誘いを断った斉木は、宿題なんてどうでもいいから思い出を作ろうと言う彼らの言葉を遮り、思い出ならあると部屋を出て行った。

「あいつ、どこ行ったんだ……?」

海堂は床に座る。

「さぁ……」

苗字がそう言った時、斉木が部屋に戻ってきた。手には大量の写真を持っており、彼はそれを床に落とす。

「わ、凄い!」

苗字は歓声を上げ、しゃがんで写真を手に取る。

「おぉ、サーフィンやってんのか斉木!」

「えっサーフィン? ……ホントだ!」

窪谷須の持つ写真を覗き込み、苗字は凄い凄いと手を叩いた。

彼らは知らない。斉木が部屋を出て戻ってくるまでの間に、瞬間移動を繰り返し、短時間で夏を満喫して来た事を──。

斉木がこんな面倒な事をしたのは、彼にも夏の思い出があるのだと納得して、海堂らには宿題を写す事に専念してもらうためだ。

──しかし。

海堂達は、そわそわとし出していた。苗字も、どこか落ち着きがないように見える。

「遊びに行こーぜ!!」

夏休みを満喫している写真を見た海堂達は、斉木の家で宿題なんてやっている場合ではないと考えた。

かくして、斉木、海堂、窪谷須、燃堂、苗字の五人で遊びに行く事になり、結果──彼らは、まだ終わっていない宿題に苦しむ事になるのである。


──ちなみに。
苗字の絵日記に鳥束との出来事が多く書いてあるのと同じように。
鳥束の絵日記にも、苗字が多く登場している。
これの意味するところは何なのか。
その答えは、未来の二人が見つけるのだろう──。
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