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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第25章 大学終わり、君との時間


零太くんから連絡が来たのが出会った日の翌日。
次に顔を合わせたのは、そこから五日後だった。

何週間か経つ事に、公園のベンチやカフェでお話をする。それが、いつしか自分の中の恒例のイベントになっていた。
それは途絶えることなく、気がついたら季節は冬。彼とは六ヶ月の付き合いだ。

──さて、今日は零太くんと会う日。
流石に外で話すのは寒かろうという訳で、PK学園に程近いカフェで話す事にした。

冬らしい冷たい風が、私の身体を冷やしていく。早くあたたかい店内に入りたい……。

手袋をつけた両手を顔の前に持って行って、はぁと息を吐く。ほんの少し顔の周りがあたたかくなった。まあ、気休め程度にしかならないのだけども。

寒さと戦いつつ、私は歩く。
今から行くカフェはチョコケーキが美味しいから、遅めのおやつとして頼むのもありだなぁ、なんて考えていると、漸くカフェに到着した。

扉の取っ手に手をかけて、軽く押す。
カランと鳴る音で私が来た事に気がついたようで、既に来ていたらしい零太くんが、
「名前さん!」
と私の名前を呼んだ。

六ヶ月も経てば、お互い下の名前呼びにもなる。
これも仲良くなった証なのかなと思うと、何だか口元が緩む。

零太くんは、こっちこっち、と、私を手招きしていた。

「お待たせ。今日も寒いねぇ」

そう言いながら、私は零太くんと向かい合わせになるように席に座る。鞄は膝の上だ。こうすると落ち着くのだ。こう……抱き枕を抱えているような安心感がある。

「今日も、色々話したい事があるんスよ!」

にっこりと笑う零太くんの笑顔はとても眩しくて、私は思わず目を細める。

「私も。この時間を楽しみにしてたよ」

私は、そう言って微笑んだ。
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