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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第25章 大学終わり、君との時間


頼んだカフェラテを私が二杯飲み干した頃にお開きとなった。
ちなみに、チョコケーキもちゃっかり頼み食べている。美味しかった。

今回も結構話してたなぁ……。案外話題は尽きないものらしい。

お会計を済ませて外へ出る。
扉を開いた瞬間に冷たい風が身体にぶつかり、私は顔を顰めた。

「というか、もういい加減俺に奢らせてくださいよ!」

寒いなぁ、なんて思っていると、零太くんがそう言った。

「男が奢るべき、みたいな……あるでしょうそういうのが!」

どうやら零太くんは、私が毎回払っている事が気に入らないらしい。

「私の方が年上だからなぁ。ほら、先輩は後輩に奢るものでしょ?」

「それだと、俺一生払われっぱなしじゃないですか!?」

零太くんが、
「俺があと三年早く生まれていたら……!」
なんて頭を抱えているのを見て、あはは、と私は笑う。

「んー、でも」

私は、隣を歩く零太くんと目を合わせる。

「零太くんが高校を卒業してからなら、奢られてもいいかも」

零太くんの顔が輝いていく。

「それって!」

「ははは、長い付き合いになるね」

私は悪戯っぽく笑い、駆け出した。

「えっ、ちょっと、待ってくださいよ!」

背後から足音が聞こえる。零太くんが、私に続き走り出したのだろう。
二人で追いかけっこ、なんて、夏の海辺でやるような事を冬の歩道でしているのが何だかおかしくて、思わず顔が綻んだ。

このまま、駅まで走っちゃおうかな。それも良い。
キンとした冬の空気が、今は心地良かった。
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