第25章 大学終わり、君との時間
ふと腕時計を見る。針は十七時前である事を示しており、私は慌てて立ち上がった。
「やばい、明日提出のレポートやらなきゃ!」
すっかり忘れていた。800字以上のレポート……これが結構大変で、時間がかかるのだ。
いきなり立ち上がり声を上げた私に驚いたのか、隣に座る鳥束くんは肩を揺らした。
「私帰るね。レポートやらないといけないから」
ばいばい、と言おうとした私の服の袖を、鳥束くんが掴んだ。
「……あの」
彼は立ち上がり、私をじっと見つめる。
「また、会えますか?」
私は目を丸くする。引き止められて、何を言われるのかと思ったら……。
可愛いところあるんだな、と考えて、私は笑みを浮かべた。
私は鞄からノートを取り出し、ページを一枚ちぎった。
ノートに挟んでいたシャープペンシルを手に持ち、メールアドレスと携帯番号を書き込む。
私の連絡先を書いた紙を、鳥束くんに渡した。
「苗字さん、これ……」
「私の連絡先。これがあれば、また会えるでしょ?」
またね、と別れの挨拶を残し、私は公園を出る。
「また話しましょうねぇー!」
公園の中から声が聞こえる。
振り返ると、紙を握った鳥束くんが見えて、私は彼に向かってヒラヒラと手を振った。