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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第24章 増えればいいってもんじゃない


我が家のリビングにいる人間は四人。
私こと苗字と斉木くん、鳥束くんと、あと──鳥束くん。うん、意味が分からない。スタンド攻撃でも受けちゃった?

『ではないな』

あ、違うんだ。あるかと思ったんだけど。
あれ? 今、ナチュラルに心の中の声に返された気が……。

『苗字は普段からテレパシーで僕に話しかけているだろう、今更だな』

「確かに」

なんて会話をしていると、
「いやぁ、朝起きたら既に俺が増えてたんスよねー」
ようやく鳥束くん(私から見て左に座っている方)が口を開く。態度は割といつも通りだ。

朝起きたら自分が二人になっており、取りあえず斉木くんの家に行く事にしたらしい。
斉木さんが何かに俺を巻き込んだに違いない、と考えていた鳥束くんだったけど、斉木くんには心当たりなんてものはなく、こうして私の家にやって来た──と。

「今の話に私の家に来る要素あった!?」

「えぇ? だって、適当にどっか出かけて知り合いにでも見つかったらやべー事になるじゃないっスか。ほら、ドッペルゲンガー的な……」

今度は右に座っている方の鳥束くんが喋った。因みにこれ、どっちが本物だとかあるのだろうか。

鳥束くんはお寺でお世話になっているらしく、そこにいる人たちに鳥束×2が見つかったら大事になってしまう。
一人は留守番、一人は出かける、としたとしても、もし二人が同じ時間帯に誰かと接触していたら、心霊現象的な風に捉えられるかもしれないし──。
鳥束くんの友人であり、この世に超能力なんて不思議なものがある事を知っている私の家に二人とも押し込んでおけば、それらの問題は回避する事が出来る。
……私の家に来るのも納得出来るわこれ。納得出来てしまった。

『じゃあな』

そう言ったかと思うと、斉木くんは姿を消した。瞬間移動をしたのだろう。

「待って! ふた……三人きりにしないで!」

「大変な事になりましたねー」

「元凶が言う言葉じゃないでしょ」
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