第22章 ほうきは意外に幅を取る
「で、いつまでこうしているつもり? 勉強したいんだけど」
落ち着いた鳥束に、私は問いかける。数分間ずっと立ちっぱなしなため、そろそろ疲れてきた。
それに、そもそも今の時間は勉強をするつもりだったのだ。まだそんなに問題を解けていないから、出来る事なら今すぐ再開したい。
「名前さんがここで勉強するんなら尚更ロッカーの外には帰せませんよ。何人かで探してるなら下駄箱に見張りがいると思うんで、校内でやりすごすまではここにいたいっスね……」
「……それ、校内で先生を撒いても下駄箱にいるなら一生学校から出られなくない?」
「あっ……」
そこまでの考えには至っていなかったのか、短く言葉を漏らした鳥束は、それきり口を開く事はなかった。
先生に捕まりたくない鳥束は絶望的な状況に陥っている訳だが、それに巻き込まれている私は私でそれなりに大変な目に遭っているのではないだろうか。