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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第21章 合法的に眺められると思えば、この時間も悪くは無い


全員ペアが決まり、私たちはペア同士で椅子に向かい合わせに座った。

目の前の鳥束くんを眺める。

早速描こうと思いスケッチブックを開きながら彼をまじまじと眺める私の視線に気がついたのか、彼が私と目を合わせてきた。

「な、何かこれ、見られるの照れますね」

ピースをする鳥束くん。ポーズを決めるんじゃなくて描いてほしい。

「鳥束くんも描くんだよ?」

「あー……。それなんスけど、一回目を閉じて、あと耳を塞いでてもらってもいいっスか?」

意図が分からないお願いに、私は目を瞬かせる。

「すぐ終わるんで、お願いします!」

そう言われ、私は目を閉じた。耳も手で塞ぐ。
視界は真っ暗になり、耳を塞いでいるからかクラスメイトたちの話し声が聞き取りずらくなった。

微かに、
「じゃあアンタにお願いするっス」
と、鳥束くんの声がするのが分かる。
ああでも、これくらいしか聞き取れないな……。

誰と話しているんだ? と考えたところで、肩を叩かれた。

「もう大丈夫です」

耳元、至近距離で彼の声が聞こえてくる。

ゆっくりと目を開けると、こちらに顔を向けている鳥束くんが見えた。

私が目を開けた事を確認してから、彼は椅子に座る。

まだ視界がぼんやりとしている。
私が軽くまばたきをしていると、スケッチブックとえんぴつを持った鳥束くんは、
「じゃあ描きましょっか!」
と言い、そんな彼の表情は何故か自信に溢れていた。
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