第20章 文学少女に告るなら
古本市の会場である広場を後にした私たちは、休憩がてら広場近くにあるベンチに腰掛ける事にしました。
私たちは広場中を歩き回っていたので、こうして休める事は私からすると有難い事でした。
「ふぅ……暑いっスねぇ」
鳥束さんはショルダーバッグからペットボトルを取り出し、中に入っている水を飲んでいます。
私は水分補給をしたあと、購入した古本から一冊だけ取り出し、表紙と裏表紙を眺めていました。
「そう言えば鳥束さんは、どうしてここに着いて来てくれたのですか?」
「えっ、そ……それは……」
私が問いかけると、あからさまに目が泳ぐ鳥束さん。
私、何か不味い事を聞いてしまったのでしょうか?
鳥束さんはまごまごとしており、質問だけがこの場に残ってしまいました。
これは、私が何か別の話題を出すべき──?
そう考えたところで、鳥束さんが私と目を合わせてきました。
「夏休みにも、苗字さんと会いたかったから」