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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第20章 文学少女に告るなら


待ちに待った二日後。

空気は蒸し暑く、元気な太陽が余計気温を高めています。

蒸し蒸しとした熱気が肌にまとわりつき、束ねた髪を吹き抜ける風は生暖かく、私は身をもって夏を実感しました。

「お待たせしました!」

駅前、改札口の近くで鳥束さんを待っていると、彼の声が聞こえてきました。

その方向を見遣ると、爽やかな出で立ちをした鳥束さんが。

普段は学校でしか会えないので、貴重な鳥束さんの私服姿に胸が高鳴りました。

ときめきとも言えるこの感情が彼に伝わらないように気をつけつつ、私は、
「待っていないので大丈夫ですよ」
と微笑みながら言います。

変な顔になっていないか、なんて恋する乙女のような事を考えてしまい、読書をしてばかりだった自分がこんな考え事をしている事に驚きました。

「行きましょっか」

目を細めつつ笑う彼。

「……はい!」

待ち合わせをしてお出かけをするなんて、まるで鳥束さんと懇ろになったようで気分が高揚してしまいます。

それに、こうして休日も会えるだなんて幸せです。
夏休みになり中々会えないだろうと思っていたので、こうして顔を見られるだけでとても喜ばしく、会いたいと言う願いが叶った事が嬉しくて、私は顔を綻ばせてしまいました。

ああ、いけない。いつも通りに、いつも通りに……!

拳を握りしめ気合を入れている私を見た鳥束さんは、首を傾げました。
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