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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第19章 さらば日常


流石徒歩で行ける距離。足の疲労は少ない。

元の世界では電車とバスの合わせて一時間くらい登下校に掛かっていたから、それと比べるとえらい違いである。
これからは楽に登下校出来そうで素直に嬉しい。


学年・クラス別に並んでいる靴箱、自分に宛てがわれている場所はきちんと思い出せる。
この世界の私としての記憶があって良かった。もしなかったら、大分苦労していただろう。

想像してしまい思わず震えてしまった。速やかにその妄想を打ち消して、私はまじまじと靴箱を眺めてみた。

おお、私の上靴が入っている……。
当たり前の事ではあるのだが、二年巛組のスペースに私の靴を入れる場所がちゃんとあると、自分は本当に二年巛組の一員な事を実感して何だか嬉しくなる。

思わず綻んだ口元を押さえてから、私は上靴に履き替えた。
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