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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第19章 さらば日常


階段を上がり、二年生の教室へ向かう。

「じゃあまた昼休みに!」

「えっ!? あっ、うん!」

手を振る鳥束くんに、私は手を振り返した。

+組の教室に入っていく鳥束くんをぼんやりと眺める。

『また昼休み』……。
もしかしてこれ、昼食を一緒に食べようってお誘い!?

めちゃくちゃ嬉しい。

その場に突っ立った状態で幸せを噛み締めていると、クラスメイトである森山くんと目が合った。

「おはよ名前! そこで何してんだ?」

「おはよう。あはは、ぼーっとしてた」

私は、登校中にも言ったセリフを繰り返す。

「何だよそれ」
と笑みを浮かべ、彼は教室に入っていった。


今までは背景にいるモブ生徒くらいにしか思っていなかった彼ら。そんな彼ら巛組のクラスメイトたちの名前を、記憶を得た今の私は覚えている。

元の世界でもクラスメイトらの名前はちゃんと覚えていたから、巛組の面々の名前を私が覚えているのも頷ける。
ちなみにこの状態で単行本を読んだら、背景にいる生徒らが誰が誰なのかちゃんと分かるようになっていたから驚いた。ちょっと楽しい。


気がついたら、斉木楠雄のΨ難の世界にやって来ていた。

トリップなんて言う非日常が、いつか私にとっての当たり前の日々──日常になる日は来るのだろうか。

そんな毎日も悪くないな、なんて。

そんな事を思いながら、私は教室に足を踏み入れた。



『まさかクラスメイトに異世界人がいるとはな』



「えっ」



脳内に斉木くんらしき声が響き渡る。



……もうしばらくは、苦労が続きそうだ。
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