• テキストサイズ

【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第19章 さらば日常


「……名前さん?」

鳥束くんの声で、私は現実に引き戻された。

そうだった、今は登校中なんだ……。

いつの間にか隣に来ていた鳥束くんが首を傾げる。

うっ可愛い……! 整った顔でされるそういう仕草は破壊力が凄い。

「あっごめん、ちょっとぼーっとしてた……」

私は何とかそう言う。

上手く喋れているだろうか。変な顔してないよね?

気になる事が多すぎて落ち着かない。今の私はきっと挙動不審だろう。

夢に鳥束くんが出てきた時は目が覚めた時にガッツポーズをしていた私。
夢にまで見たあれやこれやが、今現実になっている。

じっと彼を見ていると私の視線に気がついた彼に見つめ返されてしまい、私は慌てて目を逸らした。目を逸らすくらいなら最初からするなと言う意見は正論過ぎて何も言い返せない。


私は今、推しの隣を歩いている。一緒に登校をしている。あっ、隣から良い匂いが……!? そうか、これが鳥束くんの匂い……。

彼を変態だなんて言えない行為をこっそり私は行う。こんな幸せを得られるなんて、今日は良い日だ。

私の奇行に気づいていない鳥束くんは、
「良い天気っスねー」
と言いながら伸びをする。

「ほんとだねぇ」

あれ、私今推しと会話している……!?

多分今の私は、何をしてもこんな感じで興奮してしまうのだろう。

幸せだけど一回一回の喜びが大きすぎるせいで疲れる。私は喜怒哀楽が激しいタイプなのかもしれない。

新たな発見をしつつ歩いていると、いつの間にか前方に校門が見えてきた。
/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp