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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第18章 あんな事を言う辺り、俺はあの人に一生勝てる気がしない


「……は?」

思ってもみなかった問題に、鳥束は目を見開く。

好きな人? 名前さんの?

まさか、好きな人が誰かなんて問題を出されるとは思わなかった。

ポカンとしてしまった鳥束は、思考を取り戻すかのように頭を振った。

そう言えば、守護霊に苗字の好きな人を聞いた事はなかった。

単に好きな人を聞くと言う発想がなかっただけか、或いは答えが出るのが怖かったのか。正直どちらなのかは分かっていないが、聞ける機会があったとしてその質問をする勇気はないように思う。

(……それ、勇気がないだけじゃねぇか……)

心の中でため息を吐く。

少々自身の勇気のなさに落ち込んだが、しょんぼりしている場合ではない。

考えなければ。

こんな聞き方をしているのならば、この問題の答えはきっと『いる』だ。

……では、誰なのだろうか?

彼女には同性の友人だけでなく、異性の友人もいる。その中の誰かだとは思うのだが、断言は出来なかった。

(もしかして、俺……なんて)

漫画の王道なら、ここは『私の目の前にいる人』になるだろう。

どうせ思いつかないのだ、賭けに出てみてもいいかもしれない。
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