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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第18章 あんな事を言う辺り、俺はあの人に一生勝てる気がしない


「……何で笑ってるの?」

「ふ、くくっ……な、何でもないっスよ」

苗字は鳥束をじとっと睨んだあと、食事を続ける。

苗字の守護霊を見ているとまた笑ってしまいそうで、食事をする苗字を見守る守護霊を視界に入れないようにしつつ、鳥束は話を再開させる事にした。

「名前さんのほくろの数が分かるくらい、俺はアンタの事を知っているし、これからも知っていきたい……好きって事っスよ」

「あはは、ありがと」

彼女に好きと伝えるのは、これで何度目だろうか。その度にこうやって流されてしまう。
想いを伝えた時、彼女は一体どんな事を考えているのだろう。

「そうだ、クイズでもしてみる?」

「クイズ?」

「私の情報をクイズとして出すの。誕生日とか身長とかさ」

カレーを食べ終わった苗字は、右手で牛乳パックの角を触る。

果たしてカレーと牛乳は合うのだろうか。まるで小学校の給食のような食い合わせをしているなと言いそうになったのを、鳥束はぐっと堪えた。

苗字の提案は『色々な事を知っているくらい苗字の事が好き』と自分がさっき言った事の証明になる。

好きと伝えた時の彼女の反応からして冗談だと思われている可能性があるが、この彼女の気まぐれから始まったクイズを利用すれば、自分が本気だと彼女に分からせる事が出来るかもしれない。

これはチャンスだ。

「受けてたちますよ!」

鳥束は拳を握りしめ、そう言った。
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