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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第18章 あんな事を言う辺り、俺はあの人に一生勝てる気がしない


PK学園の食堂はいつも混んでいるが、無事に向かい合わせで席に座る事が出来た。

向かい側に座り、食堂で頼んだカレーを頬張る苗字を眺めつつ、早速鳥束は話題を切り出す。

「俺、名前さんのほくろの数が分かります」

それを聞いた苗字は、食事の手を止めて鳥束と目を合わせた。

「なんて?」

ほくろの数なんて人に教えないし自分が知っているかも怪しいものを、鳥束は知っていると言う。
彼女の反応は、至極当然のものだった。

「いくつなのか言いましょうか? 数は──」

「あ、言わなくていいよー」

苗字は鳥束の声を遮る。どうやら別に興味はないらしい。

「で、何で知ってるの?」

「名前さんの守護霊に聞いたんスよ。一度じゃ教えてくれなかったんで、何度か通いました」

「努力の方向性、間違ってる気がするなぁ」

苗字はそう言ったあと、顔を真横に傾けた。むっとした表情を作っている。

「……何で教えちゃうかな」

彼女は自身の守護霊に話しかけているようだが、彼女の守護霊がいるのは彼女の向いている方向とは逆である。

申し訳なさそうにしている守護霊が苗字の視線の先に移動するのを目撃して、鳥束はつい吹き出してしまった。
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