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外見至上主義に抗いを

第9章 中間試験


延期された中間試験まであと1ヶ月。
この日は放課後、先生に呼び出され職員室へと来ていた。

先「おう、天羽、来たか」

「なんですか?話って…私何か悪い事でもしましたか?」

先「いやー…お前、進学する気はないのか?」

「え…」

先「お前からはもっと学びたいと言う意欲を感じる。成績も優秀だし、素行も悪くない。大学進学は考えてないのか?」

「…うちにはそんな余裕ないですから…」

先生は普段生徒たちにさほど興味を示さない。
しかしそれは生徒たち側にもやる気がないからである。
のように素直に何事にも一生懸命取り組む生徒にはそれなりの対応してくれる先生だって、この学校にももちろんいるのだ。

先「うーん…そうか。余裕があれば行きたいのか?」

「それは…はい。行きたいです。でも現実的に考えて無理なんです。私と兄のバイト代だけではとても大学の学費なんて払えません」

は中学生の頃から優秀であった。
地域トップ、いや、県トップクラスの進学校に行くことも夢ではなかった。
自身、トップ校に行くことを望み、勉強に励んできた。

しかし、の受験の年に祖母は認知症を患った。
それまでは、祖母が家計を支えていたがそうはいかなくなってしまったのだ。
の住む地域に進学校などない。
そのため進学校に通うとなれば家を離れ、1人で生活しなくてはならなくなる。

これから祖母の治療、介護にお金がかかることが分かっているのに違う地域の進学校に通うなど、の性格的にも金銭面的にも出来なかった。
は志望校に行くことは諦め、泣く泣く兄もいるこの才源高校に来たのだった。


先「なら特待の推薦を受けてみたらどうだ?」

「特待…ですか?」

先「あぁ。学校の成績が優秀だったり、資格とか検定を持っていたり、ボランティアとかの特別活動とかしてると学費がタダで大学に行けるんだ。頑張れば一年生のうちに大学側からその枠を貰えるぞ」

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