第8章 パプリカTV
バ「走りながら全部見た…お前…かっこよかったぞ…気に入った…もちろんもな…はぁ…はぁ…」
そこには息を切らし、汗だくになったバスコがいた。
持っていたダンベルを男に向かって投げたのだ。
「バ…バスコ!!」
バスコの姿を見たの目にはじわりと涙が浮かんだ。
男「くぁぁぁっ!顔が…顔がぁ!ぶぶぶ…ぶっ殺す!し…死刑!死刑だ!!痛い!」
バ「全部見たぞ、このワルめ…ふぅー…お仕置きしてやる…はぁ…はぁ…やっとダンベルから解放された…」
、チ蛍((ダンベル持ったまま走ってたの!?))
男「い…痛い!ま…ま…また俺を苦しめるつもりか!!こ…これ以上奪われてたまるか!悪いヤツらめ!全員死刑にしてやる!お…俺がどれだけ月風船を貢いでやったと思ってるんだ!!い…いつもいつも俺ばっかり苦しめやがって!お…お…俺は何も悪くない!」
男は包丁をブンブン振り回したが、もちろんそんなものがバスコに通用するはずがなかった。
バスコは男の手を止め、首を掴んで上に持ち上げた。
男「カハっ!は…離せ!」
バ「刃物はダメだ」
男「は…離して下さい!くぁぁぁ!痛い!」
バスコが男の腕を掴み力を入れるとポトリと包丁を落とした。
バ「歯を食いしばれ」
バスコが男を殴ろうと拳に力を入れた。
男「ひいぃぃぃっ!」
?「ま、待って…」
するとバスコの足を老人の男が這いつくばって掴んだ。
老「待ってください!ぜぇ…ぜぇ…勘弁してやってください!たった1人の息子なんです!何をやらかしたかは分かりませんが、勘弁してやってください!」
バ「…」
バスコは黙って男を離した。
男「ち、ちくしょう!な…なんだよ親父!お…俺のパソコン盗み見て後をつけてきたのか!?は…は…恥晒しめ!!お…親父のせいで美玲に嫌われたらどうしてくれるんだ!な…なんで来たんだよ!お…親父のせいで何もかもめちゃくちゃだ!うせろ!とっととうせろよ!」
男がそんなことを言ってる間にも、男の父親はバスコ足元で息子の許しを請うていた。
男「親父が俺に何をしてくれたって言うんだ!!」
蛍介は今まで全て母親のせいにしてきた自分と、その男の姿が重なってしまった。
チ蛍「…」