第7章 学園祭
敏「あ、あの…」
蛍「!?」
敏斗が蛍介に話しかけてきた。
「あ、昼間の…」
敏「や、やぁ…」
蛍「やぁ」
敏「ぼ、僕と一緒に学園祭に出てください」
蛍(い、今なんて…?)
「…」
敏「む、無理な頼みだとは分かってるけどお願い!!君のことを誤解していたよ。君の歌声には真心がこもってる。君が必要なんだ」
蛍(僕たちなんかが何をやろうって?)
敏「ぼ、僕に言われたって気持ち悪いよね…君の…人気にあやかりたいとかじゃない」
蛍(僕たちなんかがどうやってそんなことを?僕たちなんかが…)
敏「僕はラップで認められる自信がある。2人でみんなをあっと驚かせるんだ。僕を信じてくれ」
蛍(あぁ…)
敏「な、殴るなら殴ってもいいよ。でも考えるだけ考えてみてくれないかな」
蛍(そうだったのか…僕たちじゃない…敏斗だってちゃんだって環境に文句を言わずにすごく頑張ってる…僕だけが情けなかったんだ…)
「いいじゃん!蛍介くん、せっかくそんなに上手なんだから一緒にやってみなよ!敏斗くんのこと信じてみたら??」
敏「き、君は昼間の…」
「私は。天羽。蛍介くんと同じクラスだよ。よろしくね」
は手を差し出した。
敏「ぼ、僕は今敏斗…よ、よろしく…」
敏(僕が女の子に手を差し出してもらえるなんて…)
敏斗はに握手をおずおずと返した。
敏「昼間はありがとう…あんな風に言ってくれて」
「いいのいいの。気にしないで。蛍介くん、どう?」
敏「どうかな…」
蛍「ぼ、僕に…僕にできるかな?」
敏「できるよ!!早速僕のうちで今日練習しよう!!」
蛍「う、うん…」
「私掃除やっておくから蛍介くんもう帰っていいよ」
蛍「で、でも…」
「いいからいいから、ほら早く行った行った」
は蛍介から箒を取り上げると、鞄を持たせて教室の外に押し出した。
蛍「ありがとう…」
「うん、練習頑張ってね」
蛍介と敏斗は敏斗の家に向かった。