• テキストサイズ

外見至上主義に抗いを

第13章 受験


食堂の扉がもう目の前まで迫ったとき、は吐き気に襲われた。

(やば…また…走ったから?)

はトイレに駆け込んだ。

「おえっ!おえっ!うぅ…」
(この1ヶ月、吐き気と頭痛が治らない…あの夏から毎日2、3時間しか寝てないから、寝不足で体にガタが来始めてるんだ…もう少し頑張れ私!!)

は何食わぬ顔で食堂へ戻り、急いで食事をした。








ー受験前日ー
放課後、は面接練習を終え、教室に戻った。
帰りの準備をしていたが、緊張からか、手の震えが止まらなかった。

「はぁ…ふぅ…」

は目を閉じ、自分を落ち着けるように深呼吸をした。
そのため近くに人が来ていることに気が付かなかった。

四「大丈夫?」

「うわぁ!!」

四「!?」

「し、四宮か…びっくりした…」

四「ご、ごめん…」

「大丈夫だよ。まだいたんだね」

四「うん、あのさ」

「なに?」

四「うちに子犬見にこない?」

「え、今日?」

四「うん、明日受験で不安なんでしょ?」

「うん…」

四「来ない?」
四宮はの不安を少しでも和らげようとしたのだ。

「今日は帰るよ」

四「…分かった。送る」

は四宮に送ってもらうことにした。
無言だった。
その空気を打破したのはであった。

「…もしかして待っててくれたの…?」

四宮は無言で頷いた。

「ありがとう」

また沈黙が訪れた。
そしてそのまま分かれ道に来た。

「…送ってくれてありがとう」

四「うん、それじゃあ明日頑張って」

「うん」

四宮は踵を返した。

「四宮!」

呼び止める声に四宮は振り向いた。

「ら、来週、見に行ってもいい?子犬」

四宮は少し微笑み、ウンウンと頷いた。

「ありがとう…それじゃ」
家に向かうの姿を四宮はじっと見送った。

四(どうか…受かりますように)

そんなことを祈りながら。

/ 131ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp