第11章 墓参り
はバスを乗り継いで両親の墓がある場所までやってきた。
「お父さん、お母さん久しぶり」
墓を掃除し、供物を置き、線香をあげた。
「…なんで…なんで交通事故なんかに巻き込まれちゃったかな…会いたい…」
じわりと涙が滲み、視界がぼやけた。
しかしは溢れる前に涙を拭った。
「でもね、行きたい高校にもいけなかったし、大変なこともあるけど…いい友達にたくさん巡り会えたよ。おかげで楽しかったことや嬉しかったこともたくさんあった」
は四宮や蛍介、瑞稀や美玲たちの顔を思い浮かべた。
「あとね、京城大受験することになったんだ。両親がいなくても、貧乏でも、ばあちゃんが病気でも、諦めずにやればできるってこと必ず証明するから。だから、先に死んで申し訳ないとか思わないでね。今まで頑張った分、心置きなくゆっくり休んで。それじゃあまた」
は蛍介の家へと帰った。
帰る途中
「あれは…蛍介くんと…四宮!?」
は四宮をおぶる蛍介の姿を発見し、近寄った。
「蛍介くん!」
蛍「ちゃん!」
「四宮どうしたの!?何かあったの!?」
蛍「うん…地元のやつに喧嘩売られたみたいで…多分気を失ってるだけだと思うからしばらくすれば目を覚ますと思うよ」
「ならいいけど…」
蛍(ちゃん…すごく不安そうな顔してる…四宮のことよほど心配なんだな…もし僕も四宮みたいになったら、こんな顔してくれるのかな…)
蛍「ちゃん…四宮が心配?」
蛍介はの頬に手を滑らせ、顎をクイッとして上を向かせた。
「うん…四宮は喧嘩とかするようなタイプじゃないから…」
蛍「僕がもし倒れたら同じように心配してくれる…?」
「え…」
2人の空気が少し甘くなってきたころ、四宮は目を覚ましたのか、バッと起き上がった。
四「!?」
「四宮!」
蛍「あ!四宮!気が付いた?」
四「重いだろ!?俺降りる!」