第11章 墓参り
しばらくすると蛍介の実家に着いた。
蛍「おじゃまします」
蛍母「おやまあ、よく来たねぇ。元気だったかい?蛍介は今寝てるんだよ」
四宮とも挨拶をすると蛍介に続いて家に入った。
蛍母「蛍介はお友達がたくさんいるんだねぇ…」
蛍「こんばんは、おばさん」
蛍母「あらまあ可愛いお嬢さんまで!蛍介の彼女かい?」
「い、いえ…」
蛍「い、いや!蛍介の彼女じゃないですよ!」
蛍母「そうなのかい、残念だねぇ…あの子ったら全く、友達が来てくれたっていうのに…すぐに起こすからね」
蛍「いえ起こさないでください!」
少し経つと蛍介の母は家の中にあった古紙をまとめ始めた。
蛍母「散らかってるでしょ、古紙を拾ってきたんだけど整理がまだねぇ」
「気になさらないでください。少し前のウチより全然綺麗ですよ」
蛍母「そ、そうかい?ごめんねぇ、蛍介に絶対起こすなって言われてて…」
蛍「バイトで疲れてるんだと思いますよ、僕も手伝います」
「私も手伝います」
2人に合わせ、四宮も手伝おうとすると蛍介の母は断った。
蛍母「とんでもない!お客さんにそんなことさせられないよ!これでも一日500円にはなるからねぇ、オホホ」
「泊まらせていただくんですし、やらせてください。500円は大きいですね、勉強になります」
蛍、四「「…」」
蛍母「まだ若いのにしっかりした子だねぇ…」
「そんなことないですよ。まだまだ色んな人から学ぶことがたくさんあります。蛍介さんからもいろいろ学ばせてもらってます」
蛍母「蛍介からかい?」
「はい。諦めないところとか、勉強も運動も頑張って努力できるところとか、友達想いなところとか、真面目なところとか、尊敬できる部分がたくさんあります」
蛍「ちゃん…」
蛍(僕をそんな風に見ててくれたのか…でも違うんだ…ちゃん…僕は…僕は…ちゃんが思っているようなそんな素晴らしい人間じゃない…いじめから逃げて、テストもインチキして、新しい体に頼りっぱなしの、意気地なしなんだ…)
蛍母「蛍介は幸せ者だねぇ…こんな風に言ってくれる子が友達で」