第2章 顔が良すぎて前を見れない
「あ、こっちこっち!」
カフェの扉が開き、あゆむが入って来た。
私は大きすぎない程度の声をあげて、あゆむにここにいるよとアピールをする。
私に気がついた彼女がぱたぱたと近づいてきて、私の向かい側の席に座った。
「ごめんね、こんな急に」
遅い時間ではないとはいえ、当日にいきなり連絡なんて良くなかったかもしれない。
私が申し訳なさそうにするとあゆむは、
「予定なかったし、大丈夫だよ」
と笑って言ってくれた。
私はいい友達を持ったなぁ……!
「……葉月ちゃん、何で泣いてるの?」
おっと、感動が涙として現れてしまったようだ。
ハンカチを取り出して涙を拭く。
持ってきて良かった、ハンカチ。