第1章 プロローグ
「取りあえず、テレビを観てみたらどうかな?ㅤ出会いがあるかも!」
あゆむがそう言った時、ちょうどチャイムが鳴った。
自分の席に座っていた私は、次の授業の教科書とノートを机から出す。
起立と礼を済ませて、シャーペンをノックした。
推し、かぁ。
推す対象って、確か色々あるよね?
二次元のキャラクターだったり、あゆむみたいに三次元……というか、実在の誰かだったり。
今まで、私には『推し』なんていう対象はいなかった。プレゼンを聞いた今でも、それが現れるような気はしないし。
まあでも、テレビをつけてみるのはいいかもな。どうせ暇だもんね。
考え事をしていたら、板書が疎かになっていた。
黒板の右側にまで文字で埋まっているのを見てぎょっとした私は、慌ててノートを取るのであった。