第3章 要さんは多分推しにグイグイ行くタイプ
二時間って、映画一本観れちゃうじゃん……。
そんなに長い時間見られていたら、正気を保てる気がしないな。
そんな事を思いながら、私はクッキーに手を伸ばす。あ、美味しいこれ。
私が食べ始めたからなのか、私を眺め続けていた要ユウキさんがようやく紅茶に口をつけた。
「ん、美味しい」
「良かった……!」
良い言葉をもらえて、つい顔がにやけてしまいそうだ。
ふと要ユウキさんに視線を向けると、彼女はティーカップを机の上に置いて、手で顔を覆っていた。
「……もう一回今の表情を頼めるだろうか……?」
「えっ!?」
何を言い出すんだこの人は!?ㅤ推しに対しての私たちがする反応じゃないか。誰であろうと、こういう反応は似てくるのかもしれない。