第3章 要さんは多分推しにグイグイ行くタイプ
ふぅ、無事に紅茶を用意出来た。
棚からクッキーを取り出して、大きめのお皿の上に乗せる。ちょうど数日前に買っていたのだ。過去の私は有能である。
「お待たせしました」
「君に用意してもらえるなんて、私は幸せ者だな」
まさかそんな台詞が出てくるとは思わなかった。
でも、私も逆の立場だったら言いかねないなぁ。
彼女は、机の上に置かれたティーカップを愛おしげに触っている。いや、飲んでほしい。
私はそんな要ユウキさんを尻目に、彼女の向かい側に座った。
私は一人暮らしだけれど、たまにあゆむが家に来るから椅子は二つあるのだ。
向かい側に座ったと言う事は、目の前に要ユウキさんがいる事になる。
眩しくて直視出来ない……!ㅤでも、今から横に椅子を移動させるのも不自然だし、何とかこの短時間で克服するしかないだろう。無理では?
要ユウキさんは頬杖をついて、にこにこしながら私を見つめている。
「……何か顔についてます?」
「いや、君を眺めているだけだ。二時間はいける」
「えぇ……?」