第2章 顔が良すぎて前を見れない
「──というわけだ、分かってくれたかい?」
「えっ、そ……そうですね……?」
まだ理解しきれていないけれど、要ユウキさんが私を推している理由は分かった。
いや分からないなぁ!
私ファンだよ?ㅤ推される立場にいないはずなんだけど。
でも、目の前にいる要ユウキさんは、キラキラした笑顔を浮かべて私を見つめてきている。眩しい。
うっ……この笑顔を見て『嘘ですよね?』なんて言えない……。信じそうになる……。
「今日は、それを伝えたかったんだ。聞いてくれてありがとう」
そう言いながら、要ユウキさんは席を立った。
「またどこかで会おう」
コツコツと足音を鳴らし、店を出る。
去り際までカッコイイな!
私とあゆむは、顔を見合せた。
「……何だったの?」
「さぁ……」
あゆむに聞いてみるものの、当然答えは出なかった。