第2章 顔が良すぎて前を見れない
要ユウキさんは、サングラスをかけ直した。
私が彼女の正体に気がついたからだろう。
「さて、話していっても大丈夫だろうか?」
「ど、どうぞ……?」
いくらか落ち着きを取り戻した私は、そう返事をした。
あくまでも少し落ち着いたってだけで、今は今でめちゃくちゃ緊張している。
そりゃあ大好きなアイドル、推しである人物が目の前にいて、話をしているこの状況。
緊張するのは当たり前だ。……えっそうだよね?
「私は君を推している。なぜだか分かるかい?」
「……?」
「このカフェで一度、君を見た事があるからだよ」
正解を言うの早くないかな。
私が何も言わなかったのが悪いんだけれど。
だって思いつかなくて……。
今の話から考えると。
私もしかして、推しに認知されてる!?
いや、まぁ握手会とか行ったし、うっすら記憶に残ってるのなら分かるけれど。
あれ?ㅤでも──。
「──え、私を見た事があるって、カフェでなんですか?ㅤ握手会とかじゃなくて」