第2章 顔が良すぎて前を見れない
私があゆむに助けを求めている間に、女性──要ユウキさんだ──が私の隣に座ってきた。
えっえっ、私の隣に座ってる!?
近すぎるってちょっと待って!?
「こ、心の準備がぁ……!」
声に出てしまった。声めっちゃ震えてる。
いやぁでも、これは仕方ないんじゃない?
誰だって、推しがこんな至近距離にいたら取り乱すだろう。あっいい匂いする……。
今のこの状態でさっきした質問の返事をもらっても、脳が正確に処理出来る気がしない。
それ程までに、今の私はパニクっている。
「葉月ちゃん、顔真っ赤だよ……」
「あああ言わないで……っ」
あゆむの指摘で気がついた。
確かに頬が熱い気がする。
「私は、君の事が好きなんだ。推せる……!」
「は、い……!?」
好き!?ㅤ今好きって言った!?
もう、何が何だか分からない。
開いている窓から風が吹き込み、要ユウキさんの髪が靡く。
綺麗だなあ……という事しか考えられなかった。
頭が働いていない証拠だ。