第2章 顔が良すぎて前を見れない
「お、推しって何ですか?ㅤというかそもそも誰ですかあなた……!」
とにかく、これは聞いておかねばならない。
すると女性は納得したように、
「ああ、この姿では分からないのも無理はないな」
と言いながら、サングラスを外した。
──え。
ああ、見た事ある顔をしていたわけだ。
聞いた事のある声をしていたのも頷ける。
今、私の目の前にいるのは……。
「か、かなっ……!」
私は、慌てて自分の口を塞いだ。
危ない。大声で言ってしまうところだった。
近くの席に座っている人たちからの視線が痛い。
すっすみません何でもないです……。
いや、何でもあるんだけどさ……?ㅤありまくるんだけどさ……。