• テキストサイズ

イケメン戦国 ✿••┈恋綴る月絵巻┈••✿

第1章 白と黒、灰と雨/前編(織田信長)





一方その頃。




安土より離れた地
大きな屋敷の一室で対面する男たち——。


「よく来てくれた、久野殿」

「初にお目にかかります」



久野と呼ばれたその男は
まるで腹の内が読めないような
涼やかな笑みを湛えていた。

蝋燭の揺らめく灯りに照らされる顔は
不気味さすら覚えるようだ。


「此度の諸国同盟の件
 最早織田の知るところであろうな」

「ええ。情報は流れております」

「我等のような小国が二、三手を結んだところで
 あの織田相手に勝ち戦もあるまいに」

「油断を誘うことは出来ましょう」

「しかし織田は複数、有能な将を抱えておる。
 久野殿、そなたの言う勝算とやら
 信用するに値するのでしょうな?」

「ご安心を。大事な手駒も御座いますので。
 信長の首はあなた方に差し上げましょう」



口の端に余裕を見せるこの男に
相手も観念したように小さく頷いた。


「ではまた、時が来たれば」



会釈をした久野と呼ばれる男は
その表情を崩さぬままに
静かにその場を後にした。












入れ替わるようにして現れた家臣。

「あの男、どう見る」

「果たして信用出来ましょうか。
 あれの正体は信長の重臣である
 明智光秀の手下と聞いておりますが」

「信長を恨みながら機を窺い
 此度の事を画策した、という話だったな。
 我等を陥しめる可能性もあるがまあ良い。
 仮に織田を下せば世も変わるというもの」

「では引き続き様子を探らせましょう」

「あの明智光秀が勘付くのも
 時間の問題かも知れぬがな…」








夜闇に紛れた謀

迫る戦の裏では、一人の男が暗躍していた。














/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp