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イケメン戦国 ✿••┈恋綴る月絵巻┈••✿

第2章 白と黒、灰と雨/中編(織田信長)




そして三日目の進軍を終え
暮れ入った空の下の野営。


恐らく向こうも
すぐそこまで来ているだろう。

焚き火の側では
前軍の秀吉と政宗、後軍の三成と家康が
陣形や背後からの襲撃について
再三の確認を行っていた。




「しかしよ、本当に挟撃で来ると思うか?」

「私も最初はそう思いました。
 こちらの裏を読み、何かあるのかと」

「だがここじゃあなー。
 複雑な策を仕掛けるとなると難儀だろうな」

「ええ。調べたところ、特段有能な者も
 いらっしゃらないようですし。
 こちらには私という軍師がおりますので」

「………」

「あら?どうしました?」

「…自分で言うかな」

「いや…。第三の勢力がある以上
 わざわざ手の込んだ策を仕掛けてくるとは思えねぇか」

「恐らく顕如の方は
 同盟国との繋がりは無いと考えています。
 何者かが個人的に両方の間者となり
 この戦を扇動しているのでしょう」

「あの坊主が現れる前にさっさと終わらせねーと。
 兵の損失も抑えたいとこだしな」

「そうですね。皆さん、頼みましたよ」

「お前も働きなよね」






明日は戦場だと言うのに、何と和やかな場だ。
俺の周りには肝の据わった連中が集まったらしい。

貴様らは俺の天下獲りに欠かせないものだ。
誰一人としてその命を落とさせはせん。





「信長様」

「どうした、家康」

「顕如の存在ですが
 敵は本当に知らないんでしょうか」

「恐らく何も知らんだろう」


他人の戦を利用するのは奴の常套手段だからな。
二国は何も知らずに我等を敗ろうとしている。

何とも気の毒な話だ。



「俺たちは目の前の戦をするだけ、ですね」

「ああ」

「少しは休んで下さいね」




家康が戻って行った後
眺める天は星の煌めきひとつ無い。


明日は雨に、なりそうだな——









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