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イケメン戦国 ✿••┈恋綴る月絵巻┈••✿

第1章 白と黒、灰と雨/前編(織田信長)




更に夜も更け日を跨ごうとする頃には
明日からの準備に備えて皆を戻した。


それから暫く後
ひとり残った俺の元へ
ゆらりと光秀が現れる。


「随分と遅かったな」

「申し訳ありません、御館様」

「また何か探っていたのか」

「ええ。実にきな臭い動きを捉えたもので…」




光秀は淡々と事の次第を話し始めた。

部下である久野と言う男が間者となり
此度の敵国に通じていること。

果てはその同盟の裏にさえ
またひとつの策略があるであろうこと。




「して、貴様はどうするつもりなのだ」

「久野はそのまま泳がせましょう」

「必要とあらば構わん」

「まだもうひとつのほうに、確信が無いもので」

「泳がせてそれすらも掴もうと言う訳か」

「あれは元より策士など務まらぬ性分。
 必ずや尻尾を出しましょう」




やはりこの男は
裏で動くほうが性に合うらしい。
危険を承知の上で尚も暗闇へ飛び込む。



「この戦、敵兵はおよそ一万二千と聞いております」

「こちらも対等な兵を出す」

「ほう…」

「意外だとでも言いたそうだな。
 温い戦はしてやらぬ」

「畏れながら御館様
 一部の兵を俺に預けては頂けませんか」

「何?」

「…まだ明るみには出ていない
 他に何らかの勢力があるのではないかと
 俺は見ているのです」

「我らが戦場でやり合っている最中
 その勢力とやらが横槍を入れてくる、か」

「今のところその確証はありませんが
 まだ何か有るという気がしてならないのです」


これまで様々な謀を目にし
自らもそれを行って来た光秀が言うのだ。

何かあるのかもしれんな。



「また秀吉に黙って策を講じる気か」

「あれに睨まれるのは慣れておりますので」


動じることもなく薄ら笑う光秀。

だがその目には
確かな光が宿っているのがわかる。



「好きにするがいい」

「ありがとう御座います」

「だが、必ず成功させろ」

「わかっております」



深く頭を下げた光秀は
またゆらりと広間を出て行った。





……第三の勢力か。

面白くなってなってきたが
そうやすやすとはこの首、獲らせぬぞ。





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