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【呪術廻戦】執愛

第1章 堕ちた先は快楽地獄【両面宿儺 虎杖悠仁】



「ふ、そう睨むな。少し揶揄っただけだろう」
「かは……っ!」

 目の前が霞み始めた頃、首を絞めていた剛腕から解放され美代はその場に倒れ込んだ。
 げほ、と空気を求めた器官が歪な音を立てる。

「お前、この小僧にはどうやって付け入った?」
「は……?」
「どのように誘惑したのだと聞いている」

 こちらを見つめる双眸からは、彼の感情が読み取れなかった。彼が悠仁であるならば簡単に分かったであろうことも、顔が同じであれど人が違えば全く分からないものだ。
 この男相手では、力でも言葉でも敵うまいと身をもって知らしめられたような気がした。

「それを聞いて何になるの……?私をどうしたいの?」
「なに、悪いようにはせん。俺はただこの小僧をこれ以上調子に乗らせぬよう、絶望を味合わせてやろうと思っているだけだ。そうさな、謂わば躾みたいなものだ」
「な、なに、いって……?」
「それに、他人のモノを奪うのはまた一興というだろう?この小僧はお前を大層好いているようだからな。暇つぶしに少し遊んでやろうと思っていたところだ」

 流暢に語り出すソレに、何のことを言っているのだと怯えに震えていると、熱い手のひらがゆっくりと降りてきて頬を確かめるようにして触れた。
 まるで動物に慰めを与えるようなそれに、不覚にもドキリとする。

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