第2章 僕の可愛い小鳥の飼い方【五条悟】
はあ、は、と短く荒くなる呼吸に息をするのも精一杯で、胸は未だに早鐘を打っている。下腹が切なげに疼きを訴え、激しい収縮により全身の血が送り出されるのと共に、煮えたぎるような灼熱が突き抜ける瞬間だった。その余韻からは、しばらく抜けられそうにない。手足を動かすのも精一杯で、ぼやけた視界に悟の顔を映すのがやっとだった。
「散々嫌だとか言ってた割には、上手にイけたね?」
「ちが……」
どこか夢心地でありながらも本能は悟を恐れて、勝手に身体が後退る。これ以上の未知の世界に踏み込んではならない。そう訴えている。
こんなことを簡単にしてはならなかった。頼んではならなかった。不浄の場所を犬のように舐められて、恥ずかしくも情けない顔を晒して、今更幼馴染に戻ることなんて出来なくなってしまうから。
しかし、後悔しても遅かった。悟はそんな感情を全部見透かしたかのように、薄らと目を細める。
「まさかとは思うけど、怖気付いて今更やめるなんて言わないよね」
「え……?」
悟はまるで、人の心の中を読んだみたいに言う。たしかに彼の言う通り、これ以上強い快感を与えられたら、身体が別の何かに作り替えられてしまうのではないかというくらいの恐怖を感じ取っていた。それと同時に、今ならまだ幼馴染にも戻れるかもしれない、とも思った。けれど。
「やめるなんて、言うなよ。こんなんになったのも全部お前のせいなんだから」
「ひっ……?!」
ぐりぐりと何か硬いものが腿に押し当てられて、びくりと肩を震わせた。衣服越しでも分かるくらいに押し上げるその正体が何なのか、処女だろうと知識が欠けていようとも分かる。女の自分にはない男の人にだけ与えられた性の授かりは、悟の体格に比例して今にも衣服を突き抜けてしまいそうなほどの力を漲らせて、窮屈そうにしていた。