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【呪術廻戦】執愛

第2章 僕の可愛い小鳥の飼い方【五条悟】



「き、キスは、恥ずかしいから、無しにしない?」
「……は?」

 恥ずかしいという思いもあったが、キスは付き合ってから、最愛の人としたいという夢があった。
 身体で慰めを受けようとする割には、そんな我儘な乙女の夢を抱くことを悟は不満に思ったのか、先ほどよりも怖い顔になる。
 
「おまえ、何言ってんの。僕に抱かれたいけど、キスはダメって?」

 酷薄な笑みを浮かべる悟に、ゾッとした。
 ここ最近では滅多に見ることのなかった表情に怯んでいる隙に、そのまま肩を押されてベッドに押し倒される。ぎし、とスプリングが軋む音がして、悟が自分の上に覆い被さった。驚く間にシーツに腕を固定され、腿の内に悟の足が割り入ってきて、下腹に彼の体重が乗り、身動きが取れない。

「お前はしたくないかもしれないけど、僕はセックスをする時にキスをしないなんてあり得ない話だから」
「で、でも……」
「最初に僕に頼んだのはお前なんだから、これくらいは付き合ってくれてもいいんじゃない?」
「んんっ______!」

 有無を言わせず、噛み付かんばかりの勢いで柔らかな感触が唇を覆い尽くした。
 ちぅ、と小さく音を立てて唇同士が重なり、離れて、またすぐに重なる。初めてのキスに呼吸さえままならず、熱を孕んだ唇は吸い付くように何度も何度も感触を強請り、食べられるみたいだった。

「ん、あ……はっ……」

 悟の腕にしがみつき、為す術なくされるがままになっていると、やがて、ぬるりとした舌先が口腔を確かめるように割り入ってくる。まるで生き物のようにぬらぬらと蠢く熱い舌先は、口内をぐるりと隅々まで味わうように堪能し、行き場をなくして縮こまる舌先に絡み付いた。そのまま舌先を甘く吸い上げられると、くちゅと互いの唾液の絡む音がして、羞恥に煽られて眩暈さえする。

「ん、ぁっ、や、まって……っ」
「待ってじゃないでしょ。そういう時はね、もっとって言うんだよ」
「んっ!」

 教えるような物言いでありながらも、口腔を無遠慮に蹂躙する舌使いはまさに獣の所業とでもいうような荒々しく深いものだった。

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