第2章 僕の可愛い小鳥の飼い方【五条悟】
交わる二人の熱い吐息も、間近で漂う悟の匂いも、初めて知ったキスの感触にも、脳内がどろりと溶かされてゆくのを感じる。それは、酸素が足りないからか、それとも舌を擦り合わせ、甘く吸い上げられる度に湧き上がる甘い愉悦のせいなのか。どちらかは分からなかった。
(こんなの、食べられてるみたい……っ)
キスをする前の自分は、唇と唇を重ね合わせるだけの稚拙なものしか知らなかった。なので、こうして他人に口内を貪られることが、これほど甘美で官能的なものであることに思わず動揺する。
「ひぁ……っ、悟、ほんとに、まって……!」
「なんで?」
「恥ずかしいから、あんまり見ないで欲しい……」
「それは、無理なお願いだね。僕は君の全てをこの目で確かめておきたいんだ」
「ひっ……!」
頬に、首筋に、唇に、身体中にキスをしながらも悟の器用な指先はゆっくりと背中に回って、いとも簡単に下着のホックを取り、身に纏っていたものは一瞬にして奪われてしまった。
恥ずかしさのあまりに、頼りない細腕で露わにされた乳房を隠そうとしたものの、悟がそれを許すはずもなく、片手で両腕を一纏めに押さえつけられてしまう。
弾力のある膨らみは決して豊満とは言い切れないものの、形も大きさも対称して双方は若々しく実りに実っていた。
澄み切ったブルーの瞳が、そこに向けられている。それに気づいたところで、悟の熱い視線からは逃れられるはずもなく、目を逸らすことでどうにか羞恥を耐え凌ぐことしか出来なかった。
「やっぱり、お前って僕好みのエロい身体してるよねえ。それこそ、夢の中で穢した時と同じくらい」
「え……?いま、なんて……?」
「別に、何も?ほら、見て。まだ触ってもないのに、乳首ぷっくり尖らせて期待しちゃってさ。本当に可愛いよね、オマエ」
「ひぁっ……!」
水々しい果実のように張った乳房の先端では、薄ピンク色の突起が既に勃起している。これは、唇を重ね合わせただけで、次なる愛撫に期待した己の身体が勝手に反応していることを示していた。