第1章 堕ちた先は快楽地獄【両面宿儺 虎杖悠仁】
「や、やだ……やめて、お願い、やめて」
「いい、良いぞ。そうやって絶望に表情を歪める女ほど、唆るというものよ」
「な、や……見ないで、触らないで……っ」
「それに、いくらか上物だな。小僧の見る目だけは認めてやろう」
男は美代の女体を気に入ったのか、ゆっくりとその体躯を確かめるように、全身に指を這わせた。
宥めるような手つきで首を辿り、鎖骨を撫で、豊満に実った柔らかな膨らみまで辿り着くと、覆うように掴んだり、肉の柔らかさを確かめるように揉みしだかれる。
「や、やぁ……っ、やだ……な、なに……?!」
不思議と湧き上がる甘やかな刺激にびくりと肩を震わせた。
男は無味乾燥な反応につまらなそうな顔をすると、今度は露わになった乳房を力任せに揉みしだき、爪を立て、その度に痛みを与えてくる。美代が苦痛に表情を歪めれば、男は笑い、無邪気な子供のようにそれを繰り返した。終いには、血が滲むまで首筋や胸元に歯を立てて跡を残す。
男女の交合というよりも、肉食動物に襲われるような感覚に、思わず身を震わせて声を荒げないように唇を固く結ぶ。そうすることで、この男の興味が削がれてくれるのではないかと信じる他なかったのだ。