第9章 *File.9*(R18)
「…ン」
真夜中、雪乃の家に忍び込んだ。
ワンルームマンションのベッドで横向きに眠る雪乃をやんわりと抱き締めて、軽くキスをしてからパジャマのボタンを外すと肌着を脱がす。
それから吸い寄せられるように、変わらず白くキレイな肌に唇を滑らせた。
「……っ、ん」
「雪乃、起きて」
「…ん?」
オレの声に反応して、瞼が揺れる。
「雪乃」
「ふぇ?」
「ごめん。優しくは出来ないよ」
「な、に?」
怒ってはいない。
ただ今現在、何がどうなってこうなっているのか、理解出来ていないだけで。
「ちょ、ひ、景光っ!」
「ムリ」
「だか、らっ…な、にっ…あっん」
無理矢理起こされて力が入らない雪乃の脚を開くと、そこへ身体を滑り込ませて、唇を塞いだ。
「……っン…んっ」
濡れ始めたそこを撫で上げ擦ると、くぐもった声と共に腰がピクリと跳ねる。
直ぐにしっかりと濡れて来たのを確認してから、痛みをなくすために指を差し挿れ、一度果てさせた。
「はぁ、はぁ…っは…あ、ンっ!」
それから間を開けずに自身を挿れると、また軽く果てたみたいだったが、もう構わずに激しい律動を何度も繰り返した。
松田から聞いた、あの話を思い出しながら。
あの時に感じた感情の全てを、雪乃にぶつけるように。
「昨夜、松田から聞いたよ」
「なにを?」
「去年、班長を助けたって」
「!!」
お互いに乱れた呼吸が落ち着いた頃。
上から見下ろす表情はギクリと引き攣り、明らかに松田の発言を肯定した。
「どうして、ずっと黙ってた?」
「大丈夫。私はちゃんと生きてる」
それはあくまでも結果論。
雪乃自身もよく分かってるはずだ。
「何かあったら、オレも協力するって言ったよね?」
「…あの時とは状況が違う。私は毎日、今、景光が考えてるような思いをしてるんだってこと、忘れないで!私はっ!本当は潜入捜査なんか今直ぐに辞めて欲しいって思ってるっ!」
「……」
ああ。
言わせてはいけないことを、言わせてしまった。
きっと、ずっと口にしたかったけど出来なかっただろう、彼女の本音。
でも頭の片隅では、雪乃の口からこのセリフを聞きたかったと言う願望があったのも確かで。